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VTEC

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出典: フリー百科事典『)』

VTEC(ブイテック、Variable valve Timing and lift Electronic Control system)は、本田技研工業が開発した可変バルブタイミング・リフト機構及び、その名称である。

目次

[編集] 概要

一般に、ガソリンエンジンは燃焼ガス(ガソリン空気混合気)を吸気し、それを爆発させることで動力を発生させ、燃焼済みのガスを排気するというサイクルを繰り返すしくみになっている。吸気量および排気量は、ピストンの上下動にともなうバルブの開閉量(リフト量)によって制御される。エンジンの回転数が少ないときはバルブを小さく開けて吸排気量を少なくし、回転数が高いときはバルブを大きく開けて吸排気量を多くすることが望ましい。VTECは、バルブの開閉の大きさをエンジンの回転数に応じて変化させることでこの調整を行う技術「可変バルブ機構」のひとつである。

初期のVTECは、カムシャフトにハイカム/ローカムの2種類のカム駒を設け、そこに接するロッカーアームを一定の回転数で切り替え、バルブの開閉タイミング(バルブタイミング)とリフト量を変化させる。VTEC以前にも、カムシャフトを油圧によりスライドさせてバルブタイミング(位相のみ)を変える方式は実用化されていたが、リフト量とバルブタイミングを変化させる機構はVTECが初めてであった。これにより、低回転域と高回転域それぞれにおいて、バルブタイミングおよびリフト量が最適化され、低回転域のトルクと高回転域のパワーを両立させることが可能となる。B16A型 DOHCエンジン(前身はZC型)に初めてこの機構が搭載され、自然吸気エンジンでありながら排気量1リッターあたり100PS超を実現した。

この機構の発案については、焼き鳥屋でねぎまを焼いている様子を見ていた技術者が、串に打たれた具材が回ったり回らなかったりする(ネギは回るのに肉は回らない、など)のを見て、発想したものである[1]。 また、VTEC-Eを開発する際にはスワールの研究でトイレ小便器で用を足す角度まで参考にしていた[2]

[編集] 歴史

1989年、乗用車・インテグラに搭載されたB16A型 DOHCエンジンが初のVTECエンジンである。1991年9月10日発表の5代目シビックには、SOHCエンジンにもVTECが搭載された。この際には2種類が設定され、ひとつは吸気バルブを「DOHC VTEC」と同様に低回転、高回転で切り替える「VTEC」と、もうひとつは2つある吸気バルブのうち片側をほぼ休止し、リーンバーン運転をする「VTEC-E」とである。1995年9月4日発表の6代目シビックでは、2つを統合した「3ステージVTEC」が搭載された。

2000年、それまでの、ハイカム/ローカムを回転数によって切り替える制御方法に加え、吸気側のバルブタイミング(位相)を、回転数や負荷に応じて無段階で連続変化させるVTC(連続可変バルブタイミングコントロール機構)制御も加わった「i-VTEC」へと進化。名称には「intelligent」の頭文字の「i」が付与され、エンジンの知能化を示している。2003年には、i-VTECにホンダ初の直噴ガソリンエンジンとなる「i-VTEC I」や、V型6気筒のうち片バンクの3気筒を休止させる「VCM」(可変シリンダー機構)を備えたものが開発されるなど、様々なバリエーションが存在するという。

[編集] VTECのバリエーション

H22A型DOHC VTECエンジン
赤いカバーのVTECエンジンは特に高出力化が成されている。
DOHC VTEC
1989年4月19日に発売されたインテグラに初めて搭載された。吸排気バルブともにリフト、バルブタイミングを可変する。以後、i-VTECになるまでは、高回転・高出力型エンジンのみの設定であった。
その基本的なしくみは簡単。バルブを押し下げるカムとロッカーアームを従来の1種類から2種類にし、バルブの開きを「少なめ」と「多め」に切り替える。その切り替えは、真ん中が切り離されているロッカーアームの中のピンを油圧で動かして行う。低回転時は、ピンが引っ込んでいるので、真ん中のロッカーアームが空振りし、バルブは両端のカムの小さな突起で押し下げられ、開きが「少なめ」となる。高回転時は、油圧でピンを動かしてロッカーアームをひとつにつなげられる。するとバルブは、真ん中のカムの大きな突起で押し下げられ、開きが「多め」となる。それらは、エンジン油圧・エンジン温度・車両速度・エンジン速度とスロットル位置などを考慮し、ECUでコントロールされる。またDOHC VTECシステムには、吸気カムシャフトと排気バルブカムシャフトのそれぞれのリフトカムプロフィールがある。
1989年のホンダインテグラとシビックCRX SiRモデルのDOHCシステムが日本とヨーロッパで販売、VTECシステムは初めて導入された。そして、それはB16Aエンジンの160ps(119kW)の変形を使用。米国市場は1990台のアキュラNSXの導入で最初のVTECシステムを採用。それはV6エンジンで270馬力を発生。DOHC VTECエンジンは、他の車両(例えば1992のアキュラインテグラGSR(B17 1.7リットルエンジン))の中に採用された。そして1993年のホンダプレリュードVTEC(H22A 2.2リットルエンジン)とホンダデルソルVTEC(B16 1.6リットルエンジン)の後期に採用された。

ホンダは他の種類を開発し続け、今日はVTECにもいくつかの種類がある。

SOHC VTEC
1991年9月10日に発売された5代目シビックに初めて搭載された。吸気バルブのみリフト、タイミングを可変。「DOHC VTEC」に対して発表当時は単に「VTEC」とのみ表記された。以後、ホンダ車の通常エンジンに広く用いられる。
このエンジンは、吸気側に3つのカムをもつ1本のカムシャフトと、このカムに対応して、油圧ピストン内蔵のプライマリーロッカーアームとミッドロッカーアーム、さらにはセカンダリーロッカーアームとで構成されており、低回転時には3つのロッカーアームがそれぞれ独立して作動、このときミッドロッカーアームによる吸気バルブの駆動は行なわれず、他の2つのロッカーアームの低回転バルブタイミング・リフトで作動する。一方、高回転時には、ECUからの指示により内蔵の油圧ピストンに圧力がかかり、ピストンが移動することで、それぞれ独立していた3つのロッカーアームが連結され一体となり、ミッドロッカーアームの動きに追従する。これにより2本の吸気バルブは高回転バルブタイミング・リフト状態で駆動する。このエンジンを当時ホンダは・・・低速カムの採用により低回転域トルクの向上、動弁系のフリクションの低減、さらに低回転域での安定燃焼によって具体化。高出力化のためには、高速カムの採用と吸気バルブの大径化で対応。しかもこれらを従来のハイパー16バルブエンジンと同等レベルの軽量・コンパクトさで達成。その結果、低回転域では充分なトルク特性と低燃費を達成するとともに、高回転域ではDOHCエンジンをしのぐ出力特性を実現・・・と称している。
VTEC-E
上述のSOHC VTECと同時にシビックに初めて搭載された。2つあるSOHCエンジンの吸気バルブのうち片方をほぼ休止することによりリーンバーン運転をする。
3ステージVTEC
1995年9月4日に発売された6代目シビックに初めて搭載された。SOHC VTECとVTEC-Eを統合したもので、低回転域では吸気バルブのうち片方をほぼ休止しリーンバーン運転をし、中回転域では吸気バルブ2バルブ運転、高回転域では高速カムによる運転を行う。
シビックのモデルチェンジにより一時ラインナップから消えたが、2005年9月20日に発表されたシビックハイブリッドでは「3ステージ i-VTEC」として復活した。これはハイブリッドカーHonda IMAシステムとの連携最適化を見据えたもので、減速時に全気筒休止を行うよう改良されたものである。
i-VTEC
2000年10月26日に発表されたストリームに搭載された、2,000cc版VTC採用の新型VTECエンジンに初めて命名された。以後、ホンダの新型VTECエンジンは「i-VTEC」と称され、いくつかの機構上のバリエーションが存在する。2002年10月10日には2,400cc版がアコードアコードワゴンに搭載された。2003年6月18日にはV6・3,000cc版がインスパイアに搭載された。

[編集] VTEC採用状況

1989年のインテグラでの初採用以来、VTECエンジン採用車種が飛躍的に増え、「ホンダ車のエンジン=VTECエンジン」というイメージがユーザー間に植え付けられるほど、VTECエンジン採用車種は多くなった。2007年現在生産している1,800cc以上のホンダ製エンジンは、ほぼ何かしらのVTEC機構を備えている。

2000年にi-VTECが登場してからは、2,000cc以上のVTECエンジンは、エンジンの世代交代と共にVTECからi-VTECへの移行が進み、2007年現在、i-VTECへ移行していないVTECエンジンは一部のスポーツカー用エンジンや大排気量エンジンと少数になった。

一方で、1,500cc以下のエンジンにおいては、VTEC機構採用・非採用のエンジン双方生産されており、こうした小排気量のエンジンには、より低燃費化が図れるi-DSIの採用が拡大していた。VTECエンジンとi-DSIエンジンの双方をラインナップに揃えている車種では、VTECエンジンではパワフルさを、i-DSIエンジンでは経済性をアピールすることで、棲み分けを図っていた。

特に1,300cc以下のエンジンでは、IMA用エンジンを除いてVTECが採用されていない状況が長く続いた。しかし、2007年発売のフィット(二代目)から1,300ccのi-VTECエンジンが標準で搭載されるようになった。

[編集] オートバイのVTEC

オートバイ用には、設定回転数以下で吸排気バルブのそれぞれ一つを休止し、4バルブから2バルブへと切り替える「REV」機構(CBR400F1983年12月発売)があり、その後「HYPER VTEC」(CB400SF1999年2月発売)に発展していった。

HYPER-VTEC
1999年2月に発売されたCB400SuperFourに搭載された。基本動作はVTEC-Eと同じであるが、構造的には四輪エンジン従来のVTECとは全く異なる、二輪特有のREV機構の発展形である。バルブロッカーアームを持たない「直押し」タイプでのバルブ休止を世界で初めて実現した。ロッカーアームタイプのVTECより、直押しタイプはバルブの動的荷重が軽くなりより高回転での追従性が高くなる。また、特定の回転数までは2バルブをバルブ休止させ2バルブで吸排気(吸気1、排気1)を行い、特定の回転数を超えた時点で4バルブて吸排気を行う(吸気2、排気2)。


[編集] 脚注

  1. ^ Honda | Honda ism-log | Vol.2 「焼き鳥から生まれた革新」
  2. ^ のちにホンダの企業広告でも同様の内容で紹介されたので、事実と思われる

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ

[編集] 外部リンク


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